最強への道(柔道部編)

    


私は最強を目指すために常になにかしら努力をしているが、当然の如く失敗した例もある。 今回は私が中学時代所属していた柔道部での一年間の経験を振り返りかつ皆さんと共有したい。 中学に入学した当初、私はやはり新たに始まった学生生活を謳歌していくためにも部活動に所属することは必須だと考えていた。 私が最初入ろうと考えていた部活は卓球部だった。理由はシンプルで当時稲中卓球部という作品にハマっていたからである。 稲中卓球部の主人公前野はスペックだけみれば極めて低いレベルにいるのは間違いないが彼は確実に中学生活を謳歌していた。 私はそんな彼を自分に重ね合わせて卓球部に入部することを決心したのであった。 しかし、卓球部の練習場である体育館へアクセスする途中に一つの部室があった。それこそが柔道部の部室である。 私は確かに卓球部に入部したかったがすでに最強の男になりたいという自我も芽生えていた。 その2つの思いは秤に乗せられ大いに揺れ動いたが結局柔道部の部室見学に興味本位で行ったことが決め手となり柔道部に入部することとなった。 やはり最強になりたいという思いが強かったのだろう。 しかし、入部して早速大きな問題に気づいた。とにかく勝てないのである。 当時の私の体型は149cm32kgと平均から見ても極めて貧弱なものであり、しかも中学柔道は重量制とはいえ最低が56kgである。 学外で練習する際はとにかく自分より体格の良い人に目をつけられないようビクビクしていた。 もちろん自分と似たような境遇の部員はいくらでもいたが、私は彼らと違いプライドだけは高かった。 放課後部活の時間は私のプライドが傷つけられる時間でもあり次第に部活をやめたいという気持ちが強まっていった。 ただ何度も述べるようにプライドだけは高かったので周りにやめていく部員がちらほらいる中無心で練習に励んでいた。 だが学年の変わり目の時期になっても私の体格は改善されることなく当然大会に出ても先鋒一回戦負けが常であった。 とにかく弱いため女子部員の練習相手ばかりされるのも苦痛だった。年齢的には男子より女子のほうがまだ体が大きいといえど女子に負けるのが恥であることには変わりない。 ある日女子部員と寝技の組み手をした。体格的にも技術的にも私が劣っていることは明確だったのですぐに横四方固めで身動き一つできなくなってしまった。 顔が胸で圧迫され息が全くできない。私は、薄れ行く意識の中で自分が勃起していることに気づいた。 退部届けを提出したのは、その翌日だった。


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